詠み人知らず
EDF!EDF!
己が剣は誰がために
■エウシュリー『戦女神ZERO』  ★★★☆☆
大艦巨砲主義を謳う貴重なソフトハウス・エウシュリーが作ったRPGです。
時間、労力、資金面からどうしてもADVが多い(昨今はそうでもない)
PCゲーム業界にあって据え置きに負けないくらいのやりがいがあるゲームを、
とこだわるのがここ。いや、資金稼ぎにADV作るチームも持ってるけどねw
これだけの作品を1人の戦死者も出さずに作るのは凄いな。
まぁ、まだまだ粗はある。そこらへんは「続き」から。
○シナリオ
古神・現神・機工女神の三神戦争により融合した世界【ディル=リフィーナ】。
そこで生まれた主人公セリカはバリハルト(嵐を司る現神)の神官戦士として、
魔物や争いで苦しめられる人の為に姉のカヤらと共に戦っていた。
ある日、セリカは神殿より禍々しい邪気を放つ得体の知れないものの
浄化方法を探すように依頼される。その方法を探す道中で出会う仲間や、
経験により成長していくセリカ。しかし、神の力の一端に触れた事で
セリカは次第に悲しい運命の渦に巻き込まれていく事となる。
今作は彼が“神殺し”と呼ばれるようになるまでを描いた170年余の物語だ。

セリカのバックボーンが描かれたので、今後のピース埋めが楽になりそう。
セリカはまだ人間族であった1章~3章がある意味一番面白かったかもしれない。
この世界での“神”という存在の意味、多種多様な種族達の世界観、
世界に燻り続ける様々な争いの火種の発芽。今まであまり語られてこなかったこの世界と、
そこに生きる生物達の暮らしを身近な人間族の視点で楽しめた気がする。
ただ人によっては耐えられない描写があるので、そこらへんは注意が必要だw

4章からはそこにある人物との約束である「生きる」を根幹に、
運命に抗う彼の姿が加わる。必死に「生きよう」とする彼に、襲い掛かる宿命。
様々な思惑を持つキャラ達との新しい出会い。重い運命に負け、
一度は深淵に沈んだ箇所はいかにも人間らしかった。

ただ、オメール山で復活した後のセリカに、あまり主体性が感じられなかったのは残念だ。
無論、それは記憶を殆ど失ってて、自分が誰か、何をしていたのか、
どういう人と関わりがあったか等を忘れてる、しかし忘れている何かが
自分にとってどれだけ大切であったかは何となく覚えている・・・
ってな状況だから致し方ないのだが。それに最後、【狭間の宮殿】へ向かう決意、
そこに待っている運命が分かっていても揺るがなかったあの決意は彼自身が下したものだった。
あれはオメール山で永き眠りから醒めて、初めて自分の強い意思を示したシーンかも。

EDは・・・これまた「おお!」と思わせるような終わり方でw
続き物だから早く続編が拝みたいですね。あの人との逃避行、楽しみにしています。

○システム
セーブ数は確か100。セーブ&ロードは基本的にどこでも可能、ソフトリセットもある。
ADVはリアルタイムリピート(声再現付き)、オートメッセージ、
任意の台詞飛ばしなどADVに必須な機能は一通り揃っている。

問題はRPGパートの操作性。PCゲームはマウス、キーボード、パッドで操作出来るのが
逆に仇となっていて、1つの操作ツールに特化していないから問題が多い。
特にマウスとパッドの相性は最悪で、今作でもカーソルはマウス準拠なので
パッドだと何かを選択するのに微妙に時間がかかったりする。

まぁ、今作は操作性の悪かった前作とは比べ物にならないほど良くはなっている。
が、まだまだ改善の余地はある。例えば・・・
「策敵や、スキル、アイテムのショートカットがない」。頻繁に使うものだからこそ、
1発ショートカットが欲しかった。特にパッドでのこれらの操作は非常に不便。
「戦闘において、敵が1匹しかいないのにわざわざターゲット指示しないといけない」。
「全体魔法・技なのにわざわざターゲット指示しないといけない」。
これはマウスでカーソルを動かし決定する方に重きを置いているからだろう。
最初からターゲットに合っていないので、いちいち指定しないといけないのは面倒。

他にも、オートバトルは便利ではあるが「リピートオートがない」、
「使って欲しくない等の理由でスキルを個別にON・OFF出来ない」という問題があった。
特に後者は痛い。オートモード設定で雷属性魔法を使用可能にすると、
敵の数や強さ、MP関係なく大魔法を放ったり、敵が強いのに弱い魔法だったり。
なのでずっとオートにしたままだと直ぐにガス欠になる・・・しかし、
毎回戦闘で指示だしてたらパッドだと先の操作性の悪さでストレスが溜まる。

エウシュリーはユーザーの声の実現度は高いし、次回作に反映すると言っているので、
ここら辺はもっと改善されるだろう。というか改善されなければならない。

○音楽
前作と比べ、音質、BGM数共に向上していた。RPGの肝とも言える、
戦闘曲が増えたのは嬉しい限りだ。過去作のアレンジも入っててニンマリした。
・・・が、ラスボスのBGMが、ラスボス以外で流れるのは如何なものかと思う。
やはりラスボスには専用曲を用意して欲しかったなぁ。

戦闘以外で好きな曲は『旅立ちの時』、『己が剣は誰がために』、
『楽しい駆け引き』、『神と人の狭間より』辺りかな。
曲数自体ももっと増やして欲しい!100曲くらい!w

○グラフィック
やはり老舗のPCゲームメーカー。グラフィックに関しては非の打ち所は無い。
キャラ、世界地図や背景、CG・・・全てエウの世界を堪能できる出来でした。
俺はいつもこういう類のゲームの絵は敵のグラで良し悪しを判断するんだけど、
このゲーム。って戦闘では左右に攻撃対象の立ち絵がでてくるやん?
敵図鑑眺めてたら無茶苦茶種類あると思った。同種族の敵でもちゃんと描き分けてる。
これが一番大変だったんじゃあ・・・。妥協せず、よぅ描ききったなぁ。
スタッフロールでの敵グラ作成が数人しかいなくて、更に感動したw

○まとめ
うむ、古き良きRPGを久々に遊んだ。やはりゲームはこうでなくては。
グラフィックにばかり目がいって、内容が疎かになりがちの昨今では、
こういうソフトハウスに期待せずにはいられない。
正直、色々な意味で大変さとは思うが、彼らが持つ世界観は素晴らしい。
それを手にとって遊べるのならば、いくらでもお布施しようぞ。

以下、システム面以外で気になった、そして次回作以降どうなっているか注目したい箇所。
まず予備武器はいらないな。これは3つまで武器を装備できるシステム。これで3種の属性の
武器を担ぐ事が出来て、敵への戦略が広がる。でもこれだと難易度が下がってしまう。
初見でボコボコにされるボス戦、というのはいつの時代でも体験したいものだ。
加えて属性関係の見直しもお願いしたい。万能属性が、文字通り万能すぎる。
これは前作からなのだが、もうちょっと万能属性に強い属性を設定してもいいだろう。

戦闘に関しては補助魔法の効果時間の見直しも再考して頂きたい。
ステータスUPやリジェネはフレーム数依存で、戦闘が終わっても効果フレーム数が
残っているならば持続する。これはボス戦に望む前に、雑魚戦で補助魔法かけまくる
という攻略法に繋がるんだけど・・・やっぱ、なぁ?w
最初からフル強化でボスに挑む主人公達ってのは何だが情けなくないかw

あとスキル関係なんだけど、物理技をもっと増やして欲しい。魔法技はいっぱいあるのに。
それと蘇生関係の魔法が死にスキルになっている。これには2つの要因があって、
1つはエクスポーションやラストエリクサー級のアイテムが取れすぎてしまう点。
当然アイテムは全員使用可能なので、回復&蘇生するならお手軽なアイテムに頼る。
なので次回作からはもっと高級回復アイテムは貴重品にして欲しい。
ラストエリクサーだったらシナリオ中3個くらいしか手に入らないとかね。
もう1つ。今回、仲間の大半は召喚キャラという点。召喚キャラは死ぬと消滅する。
死体が残らないので蘇生出来ない、生き返らすには召喚主が再び召喚をする。
という訳で、ほぼ使う機会が無い。スキルとアイテムがいい面を食い合っているぞ。

製作時間等諸々の事情でEXダンジョン、エウ娘、合成などおまけ要素が削られた。
これは次回作では是非達成して頂きたい。お遊び要素がはぐれ魔神だけなのは寂しい。
若しかしたら、ファンディスクあたりで追加されるかもしれないけどね。
関連記事

テーマ:ゲーム - ジャンル:ゲーム

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック