詠み人知らず
メタルマックスの続編くるうううううううううう!?
漫画・6月の感想1
■亜樹 新『葬送曲ナイトメア②』  ★★☆☆☆
葬送曲ナイトメア②約1年ぶりの続刊故、少々内容を忘れてしもうた。つー事で1巻ん時の感想を引用w
人間の悪夢が主食の“獏”が主人公。闇を内包する人間をアリエスというお店に
呼び込んで、その人に闇を見せる。取り込まれた人は闇と対峙し、抗えた人は生還、
飲まれた人は・・・で、“獏”は抗えた人から離れた闇を食す、とゆー感じの短編連作。

そうそう。そんな感じだった。今回も重荷を抱える人達がアリエスを訪れる。
・・・んだけど、2巻は1巻と違いそういったゲストが出るのは最初の『接き木』のみ。
それから最終話の4篇は“獏”そのものに関する話でした。

『接き木』。自ら欠落を抱えると称するも、弱みを見せる事を嫌い、
常に誰よりも高い場所に居ようとする青年がゲスト。そんな青年の不安定な心理状態を
ジェンガ(皆知ってるよね?w)に例えて描写されていくのが面白かった。

青年は人間を嫌い、また自身も人間である事に懊悩する。でも何故人間が嫌いなのか、
それは自分でも分からなかった。漠然とした嫌悪感は“獏”や“蛍”によって
「人間とは何か」を教えられる事により判明する。自尊心で壁を作る生き物、
しかしその壁の内側には何も護るものが無い事を無意識に悟っている生き物。
また、優越感を一番の快楽とし、自身が優れていると錯覚する為に、
劣っている奴と一緒に居たがろうとする生き物。笑う事は大好きだが、
笑われる事を非常に嫌う生き物。それが人間であると彼らは説いた。

それは今まさに青年が陥っている状態だった。ジェンガの様な砂上の楼閣から
下を見下ろして笑い、蔑む自分。そうしている間は“下”に落ちなくて済む、
という安堵と虚無感、停滞への依存は人事とは思えませんでしたね。

そんな彼の感情は“下”にいる人間全員に向けられている物だった。
つまり最愛であるハズの彼女・沙代にさえ。ここで青年は気付くんですよね。
どこか抜けている沙代と居る事すらも自分が優れていると思う為だった事に。

でも悪夢の中で出会う沙代はそれを笑顔で受け入れていた。
それでも一緒に居たいと願う沙代の気持ちはただ1つ、大好きだから。
多分、悪夢の中の沙代は「ジェンガみたいな不安定な塔の上から眺める
景色なんて綺麗じゃない。たまには下に落ちて笑おう?笑われよう?」と
言いたかったんだと思う。一緒に笑う事がどんなに幸せな事か、
また「笑われる」という事は決して悪い事だけではないと伝えたかったんだ。

青年が当から見下ろす友人達は皆、能面の様な顔をしていた。
これは恐らく塔の上からでは近しい人の顔すら分からないという事だろう。
優越感と、蔑まれる恐怖感に怯え、周りに壁を、自身の下に塔を作ってしまう。
そんな経験は多くの人があるだろう。この話は高い場所が必ずしもいい場所とは
限らないっつー事を言いたいのね。下から眺める景色、誰かと眺める景色・・・
それらは高い場所からの景色に劣っているなんて思うのはナンセンスだ、と。
結局青年は塔から落ちる事を決意、悪夢は祓われる。
かー!結局、彼女だよな!そうだよな!何が優越感じゃ!けっ!
学生はンな小難しい事考えんと、勉強と恋愛に精を出してりゃいいんじゃ!w

7話の『手当て』以降は“獏”の話となる。
“獏”の過去、“蛍”との出会い、唯一悪夢を食う事を躊躇った女性・真咲の存在。
こういう描写から“獏”自身もまた悪夢を内包していることが伺える話だった。
そしてその悪夢は最終話にて彼らの前に顕現する事になる。

自分という存在が分からない“獏”、“蛍”の死を目の当たりにして
自身は不死だという事を再認識する“獏”。そんな彼が内包してした悪夢は
「永劫、1人で生きていく事への恐怖と孤独」だった。
「悪夢を食らう」という行為は対象が自分の前から居なくなる事を差す。
でも“獏”はそれを“仕事”であると、自分の存在理由であると
言い聞かせて何とか自分を保とうとしていたんだろう。だがそうやって
無理矢理“仕事”だと言い聞かせるという事は即ち「悪夢を食らう」という行為は
自己愛からくるものであって、決して慈愛からくるものではないという事にもなる。
そうなると自分が可愛いからこそのそういった行為は後には何も生み出さず、
結果、「1人で生きていく事への恐怖と孤独」はより闇色に染まるよな。

過去話で、真咲の悪夢を食らう事を躊躇った理由はここにあったんやね。
彼女に対してどういう感情を抱いていたのか明確な描写は無いものの、
少なくとも傍にいて欲しいという気持ちはあったようだ。
それが叶わなかったからこそ、毒を飲んだ。

「生きている」のに不変であるというのは形容し難いほどに辛い。
進んでいるのに周りの景色は一切変わらないんだからな。
“獏”はそれに耐えかねて、アリエスの“店員”と悪夢を形成してしまった。
最終的には“獏”は自分が1人ではない事に気付く。 必要とする事、される事。
「生きている」と実感する事。これまで多くの夢を見てきた“獏”だったが、
そういった根本や、自分だけはずっと見てこなかったんだな。
いや、多くの他人の夢を見てきたからこそ自分が霞んでしまっていたのか。
“蛍”、“店員”・・・周りの存在によって自分を取り戻し、
「歩く」事を覚えた“獏”。これからようやく本当の「生きている」が始まる。

そしてラスト・・・このオチは、うん。素直に感動した。
最初の話と、最後の話が実は繋がっていたなんて、ちょっと泣けますわ。
1話のあの子が悪夢を取り払い、夢を実現させた事に心から拍手を贈りたい。
ふむ・・・“獏”以前に“獏”が居た可能性、最初から“獏”は居なかった可能性、
“獏”は我々の心の中それぞれに住んでいる可能性。このラストから色々推測出来るね。

めちゃくちゃ面白く万人にオススメしたいという作品ではないが、
1話1話が丁寧に作られていた印象を持ちました。出版業界に吹く風は、
長い間寒いのですが、最近出てくる新人さんって物書きを本当に愛しているのだなと
感じる方が多いような気がする。こういった方が出て来るたびに嬉しく思いますな。
まぁ、そのたびに財布は軽くなっていくのですが・・・なぁに、人生は1度きりだ。
食えるもんは食わないと損と考えよう。悪夢も金欠も全部平らげて差し上げますわ!w
最後に。“店員”のうち、トラのぬいぐるみから生まれたトラ子可愛すぎだろw
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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:本・雑誌

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