詠み人知らず
『天結いキャッスルマイスター』DLC第1弾(無料)きたあああ!!!
電撃文庫・1月の感想1
■土橋 真二郎×白身魚『扉の外③』  ★★☆☆☆
扉の外③「三つ目の扉をくぐり抜けゴールしたプレイヤーには、外への脱出と、
そのほか副賞として豪華特典が与えられます。こぞって参加いたしましょう」。
密室に閉じこめられた2年2組の生徒たちに人工知能ソフィアを名乗る存在が、
状況を打開する方法として提示したのはオンラインゲームだった。
とにかくやるしかない、とクラスで協力して、その“ゲーム”を進めているうちに・・・!
“誰”が“なんのため”に生徒たちを隔離したかがついに明らかに。

迷宮を徘徊し、3つの扉を見つけてゴールを目指せ。最初にあなた達に幾許かのお金と、
銃と弾丸を支給します。アイテムは弾丸以外に4つ持てます。弾丸は大切にお使い下さい。
ソフィアが用意したオンラインゲームは、某世にも奇妙な物語にあった某話の
シナリオを彷彿とさせた。あの時は最後まで“弾丸”を使用せず、
一切の保証の無い“何か”を信じた者達だけがゴールに辿り着いたが・・・。

銃と弾丸に関しての説明だけ暈した人工知能側が何とも醜い。
弾丸の尽きた人間は頭上にバツマークが表示される。
リアルに変える手段は強制シャットダウン(ボディはその場に残される為危険)と
扉(ただし扉は破壊可能)を使用する事。ネトゲ上のショップには様々なアイテムが
売っている、ポカリスエット、カロリーメイト、相手を拘束する鎖、
弾丸を弾く防具、弾丸等など。これらの意味する事は・・・疑心暗鬼の袋小路か。
ネトゲの中で死んだものはログイン不可になり腕輪が外れるのだが、
「リアルのショップにも弾丸が売ってあった」のに嫌悪感を覚えた。

銃を手にした人間は、得体の知れない相手と仲良くしましょうと笑顔で握手出来るのか。
つまりはそういう事なんだろう。言うまでもないが、多くの人間は銃を突きつけて
顔は笑顔で仲良くしましょうになると思われる。ソフィアはあえてそれを仕向けさせるように
防衛手段を持たせた上で、荒野に放したんだ。果たして人は、あることを切望する時、
周りの人間と協力したり、競い合ってどうするのか。銃を捨て言葉でクリアするのか、と。
性善説と性悪説、人の根幹に問いかけるゲームだったように思える。

ある日美鈴ら2組の面々は同じ境遇で“ゲーム”をしていた3組と出会う。
美鈴のように組織を纏めようとする者の制止を聞かず、
好き勝手に動いていた2組と3組は共通の“敵”を見定める事により安定。
しかしこれは大きな間違いだったな。「私だけじゃないんだ」「これで希望が」・・・
いくら切羽詰った状況とは言え、ヴァーチャルの中に安堵を感じてしまっては終わりだ。
この心の変化がのちに悲劇を生むことになるんだし。昔の権力者は必ず身分階級を
用いて国を統率した。「自分の下にまだ下の者がいるんだ」という安心感は
何物にも変え難いもの、自分の悲惨な環境をも忘れてしまうほどだった。
勿論それでも窮鼠猫を噛む存在はいたけど、今回のように自分がそういう環境に
生きている事を認識できず、更に突然その環境にはめ込まれた状況下では、
鼠はただ従うしかないのだ。誰に、何を思い、牙を向けていいか分からないのだから。
そしてそんな環境で同じ境遇、仲間だと思ったのは偽の安堵感なのだが・・・。

そんな中、美鈴は2組3組の“敵”の正体を知る事になる。
なんと“敵”はPCから接続して遊んでいる人間。つまりはプレーヤーだったのだ。
狩る敵だと思っていたが、実はそいつらは狩る側で自分達こそが狩られる側だった。
でもこれは同時に“外”を知る事が出来るチャンスでもあった。
美鈴はマイ(引き篭もり中らしい)と名乗るアバターに自分達の正体、環境を明かした。
マイは外では修学旅行に行く途中だった皆さん(=美鈴達ね)の飛行機が墜落した、
楽天が3位につけている、世界中で大規模なテロが連続して起きている等の情報を提供。
美鈴はもっとアバターが増えれば我々の今を外に伝える事が可能なのではないかと考える。

が、同時に「敵が人間の用に思考し襲ってくる面白無料ゲームがある」と口コミで広がり、
大量の人間がプレイし始め、物量で圧された美鈴達は全滅。1人戦い扉を見つけようとした
美鈴は「2時間以内に1回はログアウトしないと精神がネトゲから出られなくなる」の
禁忌を破り、体はリアルに、心はデジタルの海に残る事となってしまった。

美鈴は全てが終わってから「弾丸のコミュニケーション」の怖さを知った。
彼女は「他の皆は弾丸じゃなくて言葉を選んでくれる・・・」みたいな事を言って、
終わったんだけど、これって早い話が投げっぱなしって事ですよね?w
しかもリアルで、銃の弾を大量購入していた春香のような人間がいたから恐らくは・・・。

美鈴がダメだったとこは「自分は正しい事をしている」と思い込むとこだな。
そう思うと周りが見えなくなるようで、狭まった視野で物事を解決しようとしてしまう。
1巻の千葉のような「俺はどこにも属さない、俺は俺の道を行く」もダメだったが、
近くにあったはずの天からの蜘蛛の糸を、最後まで見落としていた美鈴も同情できない。
そういう意味では2巻の主人公が一番共感出来たな。内容も2巻が一番だった気がする。
3巻では結局誰も“上”に行けなかったしな。超絶バッドエンドと言える。

打ち切りなのか、投げっぱなしなのか分からない中途半端な最後もどうかと。
“誰”が“なんのため”に生徒たちを隔離したかがついに明らかに・・・なったか?
3巻は“上”に上がれた千葉や和泉、高橋、真希、典子らが出てくると思ったのに、
その後が一切描かれていない上に、ちょこっと出てきた“女神様”愛美の性格設定も謎。
前巻までの腹黒女神様はどこにいったの?唐突なレズ設定も何なの?w

そうそうレズですよ、レズ。3巻にいきなり登場した要素。
ヴァーチャル世界で女子生徒が強姦されたり、忌み者扱いになるのは予想できたし、
これまでも性欲による醜い描写はあった。が、ここにきて突然百合世界構築。
人は追い詰められると欲望が、性欲が爆発するってのは同性でも関係ないと?
仲が悪かった典子と愛美の原因が、美鈴を争っての三角関係だったなんて・・・w

作者はこの作品を通して、人間とはとかく醜い生き物で性悪説万歳である。
人間は個よりも集団を重んじ、その集団心理とは恐ろしいものである。
しかしながら、どういう環境化にあっても分かり合おうとする不思議な部部もある。
無論、それが銃によるものか、言葉によるものか、性欲によるものか、
手段は色々あるのかもしれないが・・・と、言いたかったのかな?
それをオブラートに包むことなく、ストレートに余計な肉を削ぎ書いた?

・・・実はこの作品。世に出る前のタイトルが『もしも人工知能が
世界を支配していた場合のシミュレーションケース1』だったのです。
作者の中では作中の世界は「人工知能が世界を支配している、
またはそれへ移行している段階」であるのかな。それを念頭において1巻から
読み直すと感想は変わってくる・・・かもしれないね。

マイの世界的テロ云々が真実ならば、既に「人工知能が世界を支配している」であり、
嘘ならば今回の件をきっかけにこれから「人工知能が世界を支配する」のだろう。
マイの話は、作中の言動等から考えるに真実度は高いと思われる・・・が、
同時にソフィアの部下(?)イデアの言も正しい印象を持つ。これを鵜呑みにするなら
ソフィアは人間の精神を読み取れる(ゲームのように数値化して認識する)、
そしてそれから導きされる方法や環境で、人間の精神を操り(欲望を爆発させたり、
無気力化させたり)競わせるプログラム。ソフィアを作った人間は相当イカれているが、
ソフィア自身は決められた命令を忠実に実行していただけという事になる。

ただ、なぜこのソフィアが世界を支配しようとするまでに至ったのかが不明だな。
そもそもマイが人間であると断定するならば、普通にネトゲーをしているのはおかしい。
それでは「人工知能が世界を支配している」とは言えないのではないか。
ということは「世界を支配している」の意味合いが通常とは異なる事が考えられる。
それこそ上位次元優位理論じゃないが、人間は知らず知らずの間に人工知能によって
統制されてしまった(人間社会は継続している)・・・これを“支配”と呼んでいるのか。
または、「常時、世界を一番快適に保つ」という事を命令として与えられた機械が
「環境を汚す人間を全滅させるのが一番」だと考え、それを実行した・・・ように、
人間の精神に触れるうちにプログラムが昇華(作中、ソフィアが人工知能を
超えた存在に思える箇所がいくつくあったが事故学習機能なのか・・・?)し、
世界全体をその渦に巻き込んだ・・・?これもやはり“支配”ではないか。

ラストで典子がたどり着いた部屋の死体・・・つまりは“管理者”という名の人間達は、
なぜ殺されたのか。彼らがソフィアの操り主であるとするならば“子”である
ソフィアら人工知能に殺されるのは変な気がする。やはりデータ化し、
ソフィアと同じ場所に立つことになった美鈴に殺されたと考えるのが妥当か?
が、彼らも腕輪をしていた事から“ゲーム”に参加していたハズ。
自らリスクのある“ゲーム”に参加なんてしないだろうから、ソフィアらに何かしらの
方法でそう仕向けられた?人間の精神を理解出来るソフィアに人を言い包めるのは得意だ。
それで本編でも、嫌というほど人間の業を拝まされてきたのだからな・・・。
とにかく、典子のシーンは、イレギュラーで“上”に上がってきた彼女に対し、
人工知能が「ここはルートから外れていますよ。上を目指して下さい、
まだあなたたちのゲームは終わっていませんよ、ウフフ」という台詞から、
この時点でバッドエンドルートしか無く、世界は絶望街道まっしぐらである、
という現状を強烈に表していたように見えた。これが扉の外とは嗤わせてくれる。
聞こえのいい“外”がエデンとは限らないのだな。

いわゆる3Dの他に、今あなたが見ている2D画面もコンピューターだ。
そう考えると人工知能・・・コンピューターという多次元的な存在は、
「上位次元の存在は下位次元の存在を支配できる」という理から
抜け出ているのかもしれん。丁度、食物連鎖の輪に唯一加わっていない人間のように。
ならば同じ次元体である人間を支配できる事も不可能ではない・・・?

うむうむ。面白くなかったことはない。が、万人にオススメできる作品ではないなw
まぁ自分や、人間という存在を改めて考え直すきっかけにはなったが。
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[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚“ゲーム”に敗北し、カードの供給も受けられずにぼんやりと生きるだけの状態を維持していた2組を前に、ソフィアはとカードを得る手段としてある“オンラインゲーム”を提示する。そ...
2008/01/02(水) 01:10:08) | 今日もだらだら、読書日記。
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