詠み人知らず
『天結いキャッスルマイスター』DLC第1弾(無料)きたあああ!!!
電撃文庫・3月の感想1
■入間人間×左『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』  ★★☆☆☆
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸御園 マユ。
僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。
彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。
リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった
誘拐事件の概要が流れていた。誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。
殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。
ズレた人生を、続けなければいけない。修正不可能なのに。理解出来なくなった、
人の普通ってやつに隷属しながら。──あ、そういえば。時間があれば、今度質問してみよう。
まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。 
第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作登場。

みーくんを世界で一番××してます。なるほど、確かにこれは物議を醸してもおかしくは無い。
これはいわゆるヤンデレヒロインと、ソレに付き従う反吐が出る嘘つきのお話。
八年前、誘拐され、嬲られ、そこで時間が止まって壊れたまーちゃんと、
現実から目をそらし、嘘をつくことで時間を無理矢理押し進めた嘘つきみーくん。
普段は敬語の年相応のまーちゃんと、8年前の人格で止まった体と矛盾したまーちゃん。
2人のまーちゃんが、マンションの扉という世界を隔てる壁を経て入れ替わる瞬間はぞっとした。
まーちゃんが美人だから余計そう思うわ。B級スプラッター映画がグロゾンビより、不可侵なモノ、
アイア~ンでメイデ~ンな何かが汚されるシーンの方がキツいと思うのと一緒かな?

ある日、みーくんとまーちゃんが住む街で、8年前を髣髴とさせる誘拐事件と猟奇殺人事件が発生。
みーくんは誘拐事件の犯人の目星をつけて後を追うと・・・やっぱり彼女は犯人で・・・。
それにしても、みーくんと再会するまでまーちゃんはよく今の精神を保っていたな。
彼女はずーっと8年前で止まった自分を隠していた訳で、今の自分はそれから単なる想像で
形成してるにすぎない。少しでも針でつつけば割れるような危うい状態だ。
しかし、それでも踏ん張っていたのはそうでもして壁を作らないと、
壊死してしまうからなんでしょう。彼女が良く寝るのは、その壁を24時間、
耐えず張っておかないといけないという精神的な疲れからきているのかと。
極力人と交流をもたなかったのも、壁維持の自己防衛の1つなんかな。
でもみーくんと再会せずこのまま大人になっていたと考えるとより恐ろしいな。
嘘つきとの再会が、ある意味彼女を・・・いや、社会を救ったのかもw

ホラーゲームにおいて、子供ってのは一番タチが悪い。罪悪感とかゼロで、
無垢なまま襲って来る恐怖。そしてそれを倒さねばならない罪悪感。
本当の自分・・・8年前の人格のまーちゃんはまさにソレ。
誘拐しちゃった兄妹に、気に入らないからと笑顔で箸を突き刺す彼女。
「お前なにすんねん!」よりも「は、箸はこう使うものだよ・・・」という
気持ちになってしまう自分と、このシーン自体に萎えたわ。接し方が分かんねぇ。
これで実親によるアメリカであった、キモオタによる新潟であった誘拐監禁事件を思い出したよ。
まーちゃんは誘拐事件が何者かによって解決した後も、ずっと囚われたままなのですな・・・。

みーくんとまーちゃんの再会は、次第に8年前の真相を紐解いていく事になります。
突然「痛いよ!」と言い、頭を掻き毟るほどに狂いだすまーちゃん。
虚空を見つめそこにいるらしい誰かに向かって「やめてよ・・・」と言うまーちゃん。
まーちゃんが誘拐しちゃった兄妹が、簡単に逃げられるハズなのに逃げない理由。
8年前とダブる事件、嘘つきの嘘つき、今回の猟奇殺人事件の犯人、暗闇にトラウマ・・・。
これらから「あれ・・・?」と少しずつ齟齬が出始めてくるあの瞬間が堪りません。
まーちゃんについては最早言うまでもないが、真相を目の当たりにしても感情が凍ったままの
みーくんも相当キてます。2人の関係、嘘と真実。絶妙の砂上の楼閣具合が最高でした。

事あるごとに文末に「嘘だけど」をつけるみーくん。どこまでが嘘で、どこまでが真実なのか。
それを考えながら読むのが楽しかったです。まさかあそこからあそこまでが嘘だとは・・・。
更に後半は、「猟奇殺人事件の犯人は誰だ?」というフィルターを通して彼を見ることになります。
・・・登場人物の扱いに完全に騙されました。普通、ああいう名前の人物ってネタキャラとして
出てくるのが世に常ですやん。しかもあんなチョイ役で顔出しただけのあいつが・・・。
みーくんのピエロっぷりには感嘆するものがありました。みーくん最高に××してる。嘘だけど。

えー、案外(?)評価低いのは、登場人物の性格が嫌いなモノだったからです。
いや、まーちゃんじゃないですよ?彼女の容姿と性格は好きです。可愛いは正義です。
問題は恋日先生や奈月さんが嘘つきとのやりとりで交わす、人を食ったような飄々とした態度。
あれが苦手なんスわ。恐らく、多くの読者があのやりとりを冷めた笑顔で楽しんだと思うが、
俺はどうも受け付けない。お互い笑顔で、相手の頬をつねりあってるっつーか・・・。
物理的に触れないものを、必死に掴もうとしなければならないような苛々を感じてしまうのです。
まぁ、物語の性質上大人達はああいう性格じゃないと、読者より先に登場人物が
狂っちまうって側面はあるのかもしれませんが。大人なんて皆嘘つきだw

ただ恋日先生の「御園がもう一度入院して、改竄した記憶と健常から程遠い精神を立て直しても、
不幸な過去を取り戻すだけ。それと向き合って目を逸らさずに、幸せをもう一度
見つけて下さいなんて、上から物事を見てる人間の言い草。真実から目を背けるな、
なんて傲慢な人間の押し付けに過ぎない。アタシは認めないね」とゆー台詞には
色々考えさせられるものがありました。確かにそうだよなぁ・・・。

でも先生とみーくんは彼女を起こしてやりたいと思っている。嘘をついてでも。
みーくんはともかく(だってみーくんは××だったから)、結局まーちゃんについては
何も解決していない。否、恋日先生の台詞を飲み込むなら解決しようがなかったんだな。

俺は、小説を読む時、無意識にゴールを想像して読むんよ。どんな着地するかなーって。
しかしこれはそもそもスタートすらしてなかった。スタートなんて出来なかった。
それに気付かず、今か今かとゴールテープの後ろで選手達がやってくるのを
ワクワクして待っていた俺。スタートラインの前で選手達が足掻いているのを
「ライバル同士が火花散らせてるなー」と馬鹿な感想を漏らし眺めていた俺。
うーむ、俺はこれでゲームオーバーから始める物語の面白さを知った感じですわ。

んで、これ・・・続編決まってるんスよね。ここからどうやって話を繋げるのか。
彼女らがスタートを切る日はあるのか、コンティニュー回数はまだ残っているのか。
電撃は最近、「これ続編無理でしょう」と思う作品を普通に続編出すよなぁw
しかもそれがいい形で裏切られて、面白くなってやんの。これにも期待しちゃいますわ。

カバーの中を見て、「ククク」と含み笑いをしてしまった方、購入しましょう。
カバーの中を見て、形容し難い恐怖に駆られた方、そっと本を棚に戻しましょう。
表紙の裏のまーちゃんで遺憾ながら興奮してしまった方、購入しましょう。
表紙の裏のまーちゃんで天を仰いだ方、「私は違う」と言いながら本を戻しましょう。
つまり『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸』はそーゆー物語です。
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電撃文庫著作名:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸 著者名:入間人間(いりま ひとま)イラストレーター:左(ひだり)発行日:2007/06/25あらすじまーちゃん、世界で一番キミを××してる…
2007/10/14(日) 21:13:17) | ライトノベル読もうぜ!