詠み人知らず
2017年9月25日 けもフレショック(日本)
電撃文庫・2月の感想1
■三上 延×純 珪一『天空のアルカミレス⑤ 聖婚の日』  ★★☆☆☆
天空のアルカミレス⑤ 聖婚の日グロスマンに連れ去られた日向子を救うため、礼菜は毬子と共に【城】
への潜入を決意する。二人を追って【城】へ向かう拓也と亨司だったが、
彼らを待っていたのは、恐るべきグロスマンの罠だった。
瀕死の傷を負った日向子の運命は? グロスマンを突き動かす狂気の正体は?
【災厄の絶星】ルスランが企む【聖婚】とは? 
――渦巻く謎が解き明かされる時、拓也とルスランの最後の戦いが始まる!
三上 延&純 珪一が贈るアクションシリーズ、ついに完結!

ラストが思っていたより盛り上がりに欠けて、拍子抜けしたかも。
これが最終巻だって事が分かっているので、どうしても戦闘の頁配分を
考えてしまうのですが、グロスマン戦が集結した時「あれ?もう頁があんまり無ぇぞ?
これで書ききれるのか?」と思っていたら、案の定ラスボス戦とその前座である
ルスラン、バレット戦があっさりしていた。特にルスラン戦の勝負の決め方は
正攻法でしばかれると思ったら腋をこちょこちょされてKOされた、みたいな感じだったw
これも含めて5巻は全体的に詰め込んだという感じがして何とも勿体無い印象。
三上先生はダラダラ垂れ流さず、いい巻数でちゃんと締めてくれるのがいいんですけど、
流石にこれは・・・7,8巻にするべきだったのでは。大人の事情ってやつなのかしら。

この物語の中で一番好きなのは実は和男だったりする。心情的に色々揺れ動いていた
他のキャラとは違い唯一、「拓也達は絶対に帰ってくる。自分は彼らの帰るべき場所であり、
居場所だ」で一貫した。こんな彼のテコでも動かない信念に考え方、生き方を変えられた
キャラは多かったよな。彼の言が無ければこの物語は成立しなかったもしれん。惚れたわ。

和男のように、帰るべき場所(こちらは愛の力ってやつでしょうかw)になる事を決めた友典。
彼の存在によって毬子は今の世界に生きる理由を見出した。頭脳の亨司、力の拓也・・・
それならば自分は何が出来るんだろうと葛藤する姿が良かったです。
エピローグの友典と毬子の会話は今まで何度も見てきた典型的なツンデレ会話。
しかし「アンタの為じゃなんだからねっ!」等の台詞は何度読んでも堕ちてしまう。
メインの3人が幼馴染というリーサルウェポンを所持しながら明暗分ける事無く終わったので、
今回のらぶら~ぶな甘酸っぱさ感は完全にこちらのコンビにお株を奪われてますね。
戦闘もそうだが、これが『シャドウテイカー』に及ばなかった所以はここにもあるのかも。
やっぱり三上先生と言えば電撃のオサナナジミストの1人。そして「もじもじ」を
書かせたら天下一品の方だ。今回はそれを活かし切れてなかった気がします。

いや、3人は3人で、礼菜が拓也の額にキスするシーンは良かったけどね。
「今は唇にする資格は無い。日向子も自分が居ない時にそんな事はしなかった。
今したら不公平だ」みたいな流れがグッときました。やはり俺は礼菜派かなぁ。
ラスダンのでの1人気の抜けた台詞が可愛かった。だがそんな台詞を吐くたびに
彼女からヒロイン臭が消えていったのもまた事実。読んでて哀しかったよw

グロスマンは多種族を見下し、アホみたいにプライドが高く、そのくせこちらを恐れている。
更に人質を利用し、こちらの変身時間が解けて無力と貸すまで手下に戦わせるなど、
あくまで悪役の王道を行ってくれました。そして王道なら当然第二形態がある訳で、
【城】の秘密が彼の第二形態でした。だがラスボス以外が第二形態を晒す事は死亡フラグ。
様々な秘密を有難く喋った後にルスランに殺された。あそこは「もう残り頁が少ねぇんだよ!
俺の活躍が減るからさっさと逝け!」というルスランの心の声が聞こえて来ましたよw

ラスボスのルスランの目的【聖婚】は言わば「全てを“無”に帰す」行為だった。
【聖婚】つーからよ、俺ぁ拓也と礼菜がああなって何か世界的に宜しくない生命体が産まれ、
人間側は大変だーな展開かと思っていたんですけど・・・見事に外れました。
で、この「全てを“無”に帰す」ってやつ。最近のラスボスの思考の流行です。
勇者側としては昔のラスボス風の「世界を支配だ!」のようなもんより、
「全てを“無”に帰す」の方が感情移入しやすいんですよね。
“無”は大切な家族や友人、世界の全ての生きとし生ける者を消す訳ですから。
グロスマンが昔のラスボス風なら、ルスランは今のラスボス風と言ったところか。

普通ならここで何で“無”を望むのかが最終戦を前に訥々と語られる(復讐だったり、
常人には理解しがたい欲望だったりする)んですが、ルスランは明確な理由が不明だった。
バレットもただ付き従うだけだったし。作者的には「ルスランの心情を
読んでやって下さい」って感じなんだろうか。その想いが死ぬ間際における拓也に対する
「ぼくの体をその光で完全に焼いてくれないか・・・?」に表れていた気がしたが。

タイトルになっている【天空のアルカミレス】の謎は予想外の物だった。
少しトンデモ理論が入っていて、そこまで話が膨らむとはなぁ。簡単に言うと拓也は
宇宙人だったわけですね。こう書くとお話がいきなり陳腐化しますが・・・w
ラストで拓也は約束を守り、日向子の「今度は本当に来てくれた!」で感動するはず
なんですが、俺の場合宇宙人という設定が頭から離れず、「カプセルの中は
赤ん坊なの?今の拓也なの?」とか、寿命が気になって三角関係の“今後”に
思いを馳せる事出来なかった。「今度は本当に来てくれた!」でカプセル開けたら
「何と赤ん坊の拓也だった」はちょっと嫌過ぎるから、まず無いとは思いますがw

名作だった『シャドウテイカー』とどうしても比べてしまうので、
評価が下がりがちなんですが、平均以上には面白かったですよ。
次回作は最終奥義「もじもじ」の復活、『シャドウテイカー』のような
目の覚めるような戦闘シーンを期待したいと思います。
●専門用語とか
○テリオン
人ではなく、そして人が知らない生物の総称。一様に高い身体能力を有する。
長寿ではあるが繁殖能力が極端に低い為、歴史に埋もれていくハズだったが・・・。

○クランテリオン
【テリオン】が人に対抗する為に組織した団体。
人を万物の霊長から引き摺り下ろす事が目的らしい。

○墓所(カタコンベ)
禁忌を犯した【テリオン】を留め置く場。【テリオン】達の【テリオン】達による
刑務所のような場所である。火凛と水漣達もここに幽閉されていた。

○城(カストラ)
礼奈が囚われている【テリオン】達の拠点の1つ。 普段は不可視である。
【城】には拠点という他に大きな秘密がある。それは・・・。

○聖婚(ヒエロス・ガモス)
ルスランが進める謎の計画。【クランテリオン】にとって幸福が訪れる日らしい。

○方舟(アルカ)
人間達が【クランテリオン】に対抗する為に作った闇の組織。
政府もその存在を把握していない。現在は【クランテリオン】によって崩壊寸前。

○方舟の闘士(アルカミレス)
【アルカ】が作った【テリオン】に対抗できる人造人間。
【反転(リトゥルネ)】という能力によって「体の一部を」外殻で覆う事が出来る。

○クロノクレイドル
次世代の【アルカミレス】を作り出すための【アルカ】が設置した禁忌の機関。
子供の頃から造れば完璧に【オニクス】を扱えるのではないかという考えから
沢山の子供が造られた。しかし結局誰1人として完全な【アルカミレス】は造れず、
【クランテリオン】によって壊滅させられた。日向子、拓也、礼菜の3人は唯一の生き残り。

○雪花鎧(アルヌワ・ブラン)
日向子の【アルカミレス】としての名前。
「脳内の処理能力を極限まで高める」という能力を有する。

○血刃の王(ロワ・デ・ルジエ)
拓也の【アルカミレス】としての名前。唯一「全身を覆う」外殻を纏う事のできる
完全にして最後の【アルカミレス】。【黒色のオニクス】程度の攻撃では傷1つつかない。

●オニクスとか
○戦器(オニクス)
どこからやって来たのかその他、詳細不明の紋様が描かれた黒色の武器。
【オニクス】を手にした事により【テリオン】は歴史の道しるべを覆し始めた。
【オニクス】は【テリオン】と【アルカミレス】にしか扱えず、普通の人が扱えば
身体が反転(=文字通り体が裏返る。つまり即死)してしまう。

○黒色のオニクス
一般的な【オニクス】。剣、斧など様々なものがある。

○金色のオニクス
【黒色のオニクス】と比べ物にならないほど強力な【オニクス】。全部で4つしかない。
【テリオン】だろうが【アルカミレス】だろうが特に選ばれた者にしか扱えない。

○百視剣アルゴスガノン
【黒色のオニクス】。日向子が駆る短剣型の初心者用【オニクス】。日向子はこれを使って
【検索(エグザミネ)】や【加速(ヴィテ)】と言う特殊能力を行使する事が出来る。

○水漣テスタ・コーダ
【黒色のオニクス】。長銃と鎖が繋がったような形をしている。熱と冷気を操る事が出来る。
火凛は手に終えないほどの戦力を持つ水漣を封じる為に、普段は水漣に自分の言う事を
聞くように暗示をかけ、武器も銃と鎖とに分離させ、火凛と水漣が別々に持っていた。

○ファランクス
【黒色のオニクス】。篭手に爪がついたような姿をしている。
使用者の腕力を爆発的に増加させる能力を持つ。

○クレスケンス
【黒色のオニクス】。【ファランクス】を失った毬子が予備として持っていた【オニクス】。
小振りな曲刀の姿をしていて、こちらは使用者の速度を爆発的に増加させる能力を持つ。
日向子が使う正式な【オニクス】。これを持つ事によって日向子は真価を発揮できる。

○金焔イグニス・アウルム
【金色のオニクス】。クレイモア型の武器で、資格の無い者だと剣を抜くだけで絶命する。
正統な使用者は【血刃の王】こと拓也。使用者の揺ぎ無き“戦意”によってその鋭さを増す。
最大限の“戦意”によって繰り出される【斬刹(リネア・レクタ)】はあらゆる存在を切断する。

○昴陣アストラ・カストラ
【金色のオニクス】。禍々しい光を放つクレイモア型の【オニクス】である。
正統な使用者は人狼族の末裔だと言う【クランテリオン】筆頭ルスラン・ヴォルク。

○神煌ニュメン・ルメン
レディ・バレットが操るリボルバー型の【金色のオニクス】。

○煉雄ミセリア・フォルテス
【神煌ニュメン・ルメン】と対をなすリボルバー型の【金色のオニクス】。
銃口から発射される弾丸は膨大なエネルギーを伴って、あらゆる存在を消し飛ばす事が出来る。
装填出来る弾丸は1度に6発。イレーナとなった礼奈が扱う事が出来る。

●テリオンとか
○ルスラン・ヴォルク
【災厄の絶星】と呼ばれる【クランテリオン】の実力者の1人。
礼菜の実の兄でもある。つまり礼菜は【テリオン】であり人間ではない。
絶大な威力を誇る【金色のオニクス】である【昴陣アストラ・カストラ】を操る。

○グロスマン・H・スパイリオン
【クランテリオン】最高幹部の1人。白髪巨躯の老人の姿をしている。
【狂惑の枢星】の称号を持ち、【クランテリオン】いちの智謀家と呼ばれている。
名のある高貴な【テリオン】で、人間社会上がりの“名無し”の【テリオン】を侮蔑している。
【オニクス】を介さず肉体を変質させる事ができ、唯一【テリオン】の中で自己再生能力がある。

○レディ・バレット
正体は猛禽類のような姿をした【クランテリオン】の斥候。
裏切り者のオフリス・ペインキラーを探していた。 普段は褐色のメイド姿で、
礼奈の世話をしている。2巻では【金色のオニクス】の持ち主だという事が判明した。

○オフリス・ペインキラー
殺す事に快楽を見出す危険な奴。体を植物のようにして伸ばす事が出来る。
斧型の【黒のオニクス】を操る(名称不明)が、【血刃の王】によって折られてしまった。

○火凛&水漣
鬼の末裔の血を引く双子の【テリオン】。末裔らしく人肉を好むようだ。
禁忌を犯し、【墓所】に囚われていたが、拓也達を殺す事を条件に出された。
火凛は熱を、水漣は冷気を操る・・・が、実際は彼女達は・・・。

○榛名 毬子
能力が高い一部の者にしか与えられない“星”がつく称号【瞑目の星火】を持つ【テリオン】。
【テリオン】である母親を【アルカミレス】に殺されてから覚醒し、グロスマンの右腕として
【アルカミレス】を葬ってきた。だが、実際は母親はグロスマンの策略によって殺され、
彼への忠誠も指輪の力による偽りのものであった。真実を知った彼女は、
グロスマンへの復讐を誓い、友典の想いを受け、拓也達と共闘することになる。

○アパタス・H・スパイリオン
猫の姿をしたグロスマンの腹心。毬子の母親の事や、指輪の真実を知っていた彼は、
グロスマンにいいように使われる毬子を思い、償いの意味もこめて一生を彼女に捧げると誓う。
毬子が欲した“父親”になろうとしていたが叶わず、最期は毬子の腕の中で息を引き取った。
太陽の光を収束、反射させて攻撃出来る能力があるが、曇りや雨の日は使えない。

○フェンリル
狼と【テリオン】を掛け合わせた正真正銘の獣。知能も人間以下である。
能力の高い統率者によって動かされ、自身は姿を消す能力を持つ。
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2007/07/17(火) 13:47:59) | 今日もだらだら、読書日記。