詠み人知らず
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電撃文庫・5月の感想1
■西村 悠×高階@聖人『二四〇九階の彼女②』  ★★★☆☆
二四〇九階の彼女②少年・サドリと相棒の人工知能・カエルは、世界の全てであると信じられている
【塔】の各階層世界を降りる、長い長い旅を続けてきた。
狂った神の代行機械・アントロポシュカと時には対立し、美しいものに、
そして醜いものに出会いながら。全ては、【塔】の外、海で待ってると言い残し、
いなくなってしまった彼女との再会の約束を果たすため。
全ての階層を降りきった時、サドリは一体何を見るのか。
優しくて残酷な、神様と世界のお話、第2集。

「世界は多くの【塔】で出来ていて、外の世界には何も無い」・・・そう信じていた
アサ四棟・一三〇二階に住む少年・サドリは、別の【塔】・・・アサ五棟・二四〇九階から
交信してきた少女によって「外の世界には海と自由が広がっている」と聞かされ、
それが真実か確かめる為に、その少女に会う為に【塔】を降りる決意をする。
世界はアントロポシュカ曰く「世界は一度滅び、人々がまた過ちを犯さないように【塔】が
創られました」ようだが・・・果たして正しいのは神の天動説なのか、人の地動説なのか。

階層世界はそれぞれ【門】で繋がっていて、【鍵】となる人物(【門】と【鍵】は
絶対設定しないといけない。アントロポシュカが持つ制約の1つ)をそこに連れて行くと、
世界を1つ上下出来る。階層世界にはそれぞれ人間の“幸せ”を追求した世界創りを行う
神の代行機械アントロポシュカがいて、彼女(性別的には女性らしい)は絶対の存在である。

アントロポシュカは旧世界(=滅びる前の地球だと思われる)における
“幸せ”の定義に則って、神を代行するようだ。しかしこれがそもそも間違っている。
“幸せ”なんて人それぞれ。物差しで計れるものじゃない。それを「これが幸せです」
などといって渡しても、甘受出来る人と出来ない人がいるのは当たり前だよな。
まぁ、そうするように仕向けたのは旧世界の住人、つまりは同じ人間な訳だが。

2巻は『七三五階の闇』、『二一三階のパズル』、『一二四四階の競争』、
『一八六階の列車』の4編からなる。どれも面白い内容だった。

『七三五階の闇』。ここのアントロポシュカは「見ない事こそ幸せ」だと定義づけ、
一切の光を無くした。七三五階に広がるのは広大な闇(木々など風景は普通にあるようだが
しかし闇の世界に生きるのは機械ではなく人間。アンロトポシュカはここを忘れてしまっていた。
人間は100の見なくていいものより、1の見たいものをとる。苦しい事が100続いても、
幸せな事が1ある・・・人はこれを味わう為に生き、その瞬間に生きている事を実感する。
「見る」事も、「見ない」事も本来誰かに言われてする行為じゃない、自分で決めるものなのだ。
七三五階の【鍵】であり住人のヤクもまたそんな1人だった。アントロポシュカに逆らってでも、
ヒカリがミたい・・・サドリは「下層への【門】なら光があるはずだ」と思い、共に【門】を探す。

ヤクの一人称は僕だったが、性別は女性だった。本来は直ぐに気付くはずなのに、
サドリは最後の最後まで、【門】にたどり着くまで気付かなかった。
そして【門】から光から溢れた瞬間、実は彼は彼女であり、彼女の目は・・・。
予想していたとは言え、この絶望感はキツかった。皮肉にもヤクはあれだけ否定していた
アントロポシュカの「見ないことこそが幸せ」を自らの体で証明してしまったのだ。
同時にサドリと読者に「望んでも適わない事があるという現実を受け入れろ」という
強烈な鉤爪の跡を残す事になった。世界の真実をミずして、ミてしまったヤクは
今後どう生きるのだろう。この物語はサドリが下層へ向かなければならない為に、
後日談が拝めないのが、何とも言えぬ気持ち悪さという良さを演出しているよな。

ところでヤクが発する「ミる(=見る)」やヒカリと言った言葉が、カタカナ表記なのは、
七三五階にはそういう概念が存在しないから、彼女は意味が把握出来ないって意味だよな?
生まれつき「ミる」という行為を知らないから、自分が「ミえない」という事実も分からない。
一方サドリは見る事も見ない事も出来る。だからヤクの「ミえない」の理由は、
闇に包まれているからだと誤解してしまった。【門】に着きさえすれば
見えると信じていたサドリはこれによってより大きく奈落へ落ちた。嗚呼・・・。

『二一三階のパズル』。ショートブレイク的なお話。
住人の全てがパズルやとんち、なぞなぞが好きだという変わった世界。
「考え抜いて答えが分かる瞬間こそが幸せ」だと定義されているようだ。アハ体験?w
どうでもいいけど、冒頭の問題は公務員試験にある判断推理というジャンルの問題だ。

例えば・・・
Q.「次の命題が成立する時、確実に推論できるものはどれか」
1.ロマンスがある映画は涙が流れる
2.面白い映画のうち、ある映画はロマンスがあり、ある映画はアクションがある

A.ロマンスがあり、かつ面白い映画はアクションがある
B.面白く、かつロマンスがある映画はアクションがある
C.涙が出る映画のうち、ある映画は面白い
D.アクションがある映画はロマンスがある
E.面白く、かつ涙が出る映画はロマンスがある

のようなもの。ベン図、三段論法、対偶等を駆使して解くんだよな。
西村先生は公務員を目指した事があったんだろうかw

『一二四四階の競争』。サドリとカエルの出会いが語られる。一番良かった。
「競って勝つ事こそが幸せの根源である」だと思うのはまぁいいんだが、
それが一生に一度の“競争”だけってのはなぁ・・・。
“競争”によって敗者になってしまうと、人権を剥奪されて、
生きるも死ぬも何も文句は言えない世界。サドリはそこで敗者になってしまい、
殺される寸前、同じ敗者のキタオリに助けられる。彼は「既にこの世界のアントロポシュカは
死んでいて、“競争”は狂った定義を守る為に狂った一部の人間がしている狂った行い」という
この世界の真実に気付き、それを証明しようとしていた。同時にサドリは、
両親を勝者達の【狩人】に殺された敗者・サビという少女に出会う。
もう少しというところで終わってしまった正義。彼の正義は本物だったのかは、
それこそ人それぞれでしょうけど、成功しなくて正解・・・だったのかな。
まぁ成功していたならサビの未来も変わっただろうし、サドリとカエルが出会う事も
無かったかもしれないが、サビの想いが砕ける事なく失敗した事に幸せを感じた。

次第に心を開いていくサビに温かい気持ちになりました。サビが“アレ”だったので、
最初はカエルにサビの人格が・・・みたいな事を予想しましたが、カエルの“アレ”は、
ずっと彼女を見守り続けていたからこそのものだったのか。カエルの「海を見る」は、
カエル自身の知的好奇心に、サビの想いが込められている。何とも涙を誘う設定ではないか。

それにしてもこの世界にあったコーヒー・・・サドリの言だと、どうやらサドリのいた
一三〇二階も含め、今まで渡ってきた階層にはコーヒーが存在しなかったらしい。
何と言う地獄。コーヒーが無いなんて俺ぁ仕事に、いや生活そのものに支障をきたしますよ?w

『一八六階の列車』。“楽園”に向かう列車と駅しかない世界。
しかし“楽園”なんてものはなく、それはアントロポシュカが創った虚構だった。
住民が乗った次の駅から次の駅までの間にアントロポシュカは駅を創り替えて、
「“楽園”に向かって走っている」と思わせているだけにすぎなかった。
結局は同じ場所をグルグル回っていただけなのだ。しかしアントロポシュカは
これこそが“幸せ”だと考えた。終わらない至福、希望が達成されるまでの過程とその絶頂。
確かにその瞬間は幸せだと思う。「ああ、時が止まればいいのに」なんて思う瞬間は
誰だって経験するからな。でもそれは「時が止まる事はないし、必ず終わりが来る」と
知っているからこその気持ち。一生終わりが来ないんだかったら、人間は感動を捨ててしまう。

【鍵】の少女・シャンは父親の遺した遺産に基づいて、世界の嘘を暴こうとしていた。
今までなら寸での所で、瓦解して後味の悪いままサドリが下層へ降りていくんだけど、
今回は違った。まさかあそこまでいくとはな。シャン1人だけだとダメだったろうけど、
同じく世界の真実を知っていて、でも規則を守らないといけないという板挟みにあった
車掌の力があったからこそ達成出来たんだと思う。1人だとおかしいという声も、
直ぐに大衆にかき消されてしまうが、それが2人、3人となれば・・・てやつねっ!

ここのアントロポシュカは凄く人間的だった。シャンにその“幸せ”が
おかしい事を指摘されると、彼女もまたそれを分かっていた。分かっている上で、
最小の犠牲者を出す最良の選択を選んでいた。彼女の言葉は頷ける部分が多くて、
ずっと立っているのは辛い、寄りかかれる存在があれば寄りかかりたい・・・
そういう気持ちで思わず納得しかけてしまった。危ねぇ、俺も盲目的な住人になるとこだったぜw
そして最後にトドメと言わんばかりに彼女は言う。そうするように設定したのは貴方たちだと。
せめて各階層のアントロポシュカが、自分で考えられる存在ならばなぁ・・・。
ったく、旧世代の人間は酷い事をする。“幸せ”の押し売りなんて余計なお世話だっつーのw

やっぱりというか何と言うか、とかく人間様は偉大な生き物で、
多くの階層で世界の真実に気付き、アンロトポシュカと敵対する存在が
出始めている点が面白かった。結局、アントロポシュカを打ち負かし、
世界を化けの皮を剥いだのは『一八六階の列車』のシャンだけだったけど、
こういうのが増えてくると、いずれ神様の“天動説”は崩壊するかもしれないね。
そん時は人それぞれが、“幸せ”を自分のカタチで追い求める事が出来るようになるだろう。

『一八六階の列車』の話が終わって次のページを開くと、いきなりサドリが
“外”に出ていたのには驚いた。最初、ゴソッとページが抜けているのかと思ったぞ。
せめてあと1冊くらいは階層を降りる(3巻は2ケタ台の階層で)と思っていたんやけどなぁ。

“外”には二四〇九階の彼女が言ったように海があり、そして・・・。
と、ここで物語は終わっている。サドリの前に現れた人物は二四〇九階の彼女だったのか。
これからどう展開していくのか。まさかこれで終わりなんじゃないだろうな?
あとがきには3巻のことは全く触れられていなかったので気になるところだ。
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