詠み人知らず
オナカガスイタラギュウニクコロッケ!!!
電撃文庫・12月の感想1
■橋本 紡×山本 ケイジ『半分の月がのぼる空⑤』  ★★☆☆☆
半分の月がのぼる空⑤穏やかな日々が、裕一と里香に訪れようとしていた。葛藤や迷い、そして苦しみを
乗り越えた末にようやく掴んだ、当たり前の日常。それは何よりも大切な温もりだった。
そんなある日、裕一は夏目に病院から連れ出された。向かったのは静岡県浜松市。
かつて里香が、夏目が、過ごした場所だ。そこで裕一を待っていたのは――。
ちょうどそのころ、山西の下らない陰謀により、司とみゆきは大変な事態に突入し・・・!?

里香の病気はもう一生治らない。いつ死ぬか分からない。これは既に分かっていた事実。
だから裕一も読者もある程度の覚悟を決めた・・・はずだったんだが、「お前はそれが
意味するものを全然分かっていない」「ずっと一緒にいよう」なんて言葉を軽々しく使うな、
とばかりに“現実”を突きつけられる、そんな巻です。

夏目が浜松へ連れて行った理由。それは里香と同じ病気を患っている人とその周りを
見せたかったから。「お前はこれからこの夫婦と同じ道を歩むことになるんだぞ」と言う事ですね。
裕一は、自分の覚悟だけでなく、そんな里香の思いも背負わなくてはならないんだ。
でも覚悟を決めた裕一は強かった。自分がまだガキで、今分からなきゃいけない事の
殆どを分かっていないと自覚してても尚、里香へのゆるぎない想いを夏目にぶつけた。

ネコに詳しい事を問われ「近くに詳しい奴がいたからな」と答えた夏目で、4巻を思い出して
ウルっときた人は多いはず。これ小夜子さんのことですよね・・・。最初はキチガイ医者として登場し、
裕一の邪魔ばかりしていたけど、3巻、4巻では少しずつ裕一を認め始めて、5巻で裕一に里香を託すと
決めたのですね。自分と小夜子さんとのような轍を踏ませない為に(つд`)

最大の見せ場は里香の母と裕一の会話シーンだろうな。彼女の言葉は夏目より更に重い。
彼女も同じ経験をし、人生の先輩でもある。「里香は長く生きられないと思います」と言われ、
「覚悟を決めている」という裕一に対し「よく考えてください。貴方はまだ17歳でしょう。これから進学、
就職もある。その度に里香は貴方の足を引っ張ります。里香は遠くに旅行に行く事も出来ないし、
一生病院の中で生きる事になる」と言う。最後に「貴方には夢があるでしょう。里香はその夢を
すっかり潰してしまうんですよ?」「辛いですよ。貴方が思っているより・・・ずっと、ずっと辛いですよ」と経験者だから言える言葉を紡いだ。夢や希望なんて人が人として生きる糧みたいなもんだ。
それがないなんて、何故人として生まれ生きるのか、その答えの1つを失うといっても過言ではない。
少し下卑た話になるが、夏目や彼女の言葉の裏には「デートに行けないぞ。誕生日にケーキを
喰って祝う事も出来ないぞ。結婚式もあげられないぞ。体を重ねる事も出来ないぞ」と
言われている事に等しい。こういった下卑も含め、若干17歳で全てを背負って、
100%の覚悟を決めるなんてそう出来るもんじゃない。逆に17歳だからこそできたのかもしれないが。
でも、裕一は「この手は何かを掴む為にある」を信じ、掴むモノを里香だけと決めた。
他は全て捨てると決めた。裕一かっこいい。嗚呼!それに比べ何と俺の器の小さい事かw

所で、浜松の場面に出てきた石川さんはモデルがいるそうだ。その人もまた同じ病気を患っていて、
橋本先生曰く「こんないい加減な自分を親友と思ってくれていた、親より大事な親友」なんだそうな。
彼は、橋本先生がこの5巻を書き終えた頃、27年間にも及ぶ闘病生活に終止符を打ち、
旅立ったという。それ故今回、ここら辺の話が凄くリアルに感じた。

婚姻届のくだりは面白かった!でも司や裕一ってまだ17歳だよね?w
2枚の婚姻届はまだ裕一とみゆき手の中ですよね。恐らく6巻の伏線なんだろうけど、
これを里香が目にした時の反応が今から楽しみです。奥義ツンデレが炸裂するか!?w
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時々見させてもらってます☆
2005/10/19(水) 00:41:07) | こんにちは☆