詠み人知らず
勝ったな。
電撃文庫・6月の感想1
■周防 ツカサ×久麻『ラキア①』  ★★★☆☆
ラキア①その日。高校生の永戸 貴壱は、セットした覚えのない目覚まし時計で起きた。
ダイニングに降りると、何故か昨日とまったく同じ日が始まっていた。
不審に思った貴壱は、「同じ日を繰り返している」ことを周囲に話すが、
まったく相手にされない。困惑しつつも学校に向かうが、
やはり状況は変わらないまま。そして、次の日も“昨日”と同じだった。
そんな中、貴壱の同級生・上木 麻衣も自分と同じ境遇であるらしいことが分かり・・・。
リピートし続ける世界に巻き込まれた、男の子と女の子の物語。

いわゆるリピート、ループモノといわれる類の作品。ループした世界で、
お互い好きなんだけど告白できない関係の2人が近づいたり離れたりする第1話『日々反復』、
リピート世界でもマイペース、「世界はアタシを中心に回っているのよ」な女の子と、
それに振り回されつつも彼女に惹かれていく「恋愛?なんだそれは」な男の子が、
同じくループ世界にはまった第3者に狙われる第2話『世界の異常、二つのルール』、
ループ世界で自身の病気の事に絶望し自殺を繰り返す少女と、それを毎回止める
マイペース少年を描いた第3話『夢の中、橋の上』、ダメダメな女性が、1人ループ世界にはまり、
居候した友達の家の年下の男の子に惹かれていく第4話『外れた世界へ』の4話構成であります。

これは、そういったループ世界から抜け出すとか、解明するとかそういう方向性ではなく、
あくまでループ世界に捉われた少年少女の恋物語が主のようだ。ただ、恋物語と言っても、
1つの話は基本的に7月2日辺りで終わるので、そう進展するようなものでもないが。
一番好きなのは第4話かな。この話は主人公(とヒロイン)がループ世界に
捉われるほかの話とは他とは違う展開。しかも第1話と多少リンクしている。
主人公の寺西というのは多分、第1話に出てきた主人公永戸の親友である寺西だろう。
ヒロインの由佳はダメ女属性のズレキャラ。綺麗なダメお姉さんは好きですか?
周防先生はこういう子とクールビューティ系が得意なのか良く目にするような。

自分が好きな順は「第2話>第4話>第3話>第1話」かなぁ。いや、第1話のあの2人の
性格は好きですよ?だからもっと上位に持ってきてもいいかもしれんが、終わり方に釈然と
しない物を感じたんスよ。あれはどういうことだ?“認識”による違う世界の2人か?
それともループ世界のお陰で引越しを回避出来たって事?途中までは良かったんだけど、
最後に一気にドテッってこけたような感じ。誰かアホな俺に内容を説明してくれー。
第2話は単なるボーイ・ミーツ・ガールじゃなかったので。「認識する」という観点から
“ループ世界での死”をチラつかせて、法則とか謎みたいな物を解き明かそうとしていた。
“認識”するという事はその世界の“ルール”を定める事。ホラ、よく言うアレだ。
鉛筆は「文字を書く道具」だと“認識”しているから鉛筆なんだってやつ。若し鉛筆が
「人を殺す道具」だと“認識”されている世界ならばそういう存在になる、ってね。
ループする世界にはループした人間と、してない人間がいる。これはこの世界には
2つの“ルール”が存在するということ。第2話ではその“異常性”に気付いた。
んで、そこに第3者の乱入っつーちょっと他の話とは違う展開があったので面白かったス。
また“2人の関係”と言う意味では、4話の中では一番安心出来る終わり方だったと思う。

第4話は三尾さんマンセーって事で。俺はああいう女性に惹かれてしまう・・・w
三尾さん自身の事はアレでいいと思うが、個人的には寺西と三尾さんのこれからが気になった。
第3話はボーイ・ミーツ・ガール度は低くて、ラキア自身が他の話とは違う点が特徴か。
全話で2人(若しくは片方)の前に現れるけど、3話では珍しく・・・ってか唯一主人公に好感を
持っている。だから他の話とは違って出まくるし、喋りまくる。ラキアは見た目通りの年齢では
ないようだが、それでもあの幼さは素直に可愛いと思った。あのラキアが素だと信じたいw

どの話にも出てくる黒衣の少女ラキア。彼女は一体何者なのか。
それが1巻で解き明かされる事は無い。分かっている事は「彼女もまたループ世界に
捉われており、彼女の場合は長い年月を経ても未だに7月1日から抜け出せない状態にある。
それ故に非常に孤独な存在で、同じくループ世界に迷い込んだ人とコンタクトをとりたがる。
性格は非常に慇懃無礼で、開口一番皮肉しか出ないような子である」と言う事だけだ。
「貴方達とは違う存在です」と言いながらも、「私にはこの世界をどうこうする力はない」と
言う辺り、自分自身も何者なのか、ループ世界とは何なのか分かっていないご様子。

この作品のループ世界にはいくつかの特徴があって、その1つに「ループは永続的なものではなく、
いくつかループすると強制的に現実の世界へ戻る」というものがある。これは「6月29日、30日、
7月1日、1日、1日、1日、2日、3日」と言う感じになるって事。ラキア曰くループする度合いは
1週間だったり、1ヶ月だったりするようだ。このループの度合いが普通にランダムに起こるのか、
それともラキアの些事加減(本人は自身もループ世界に捉われているだけで、この世界を
どうこうする力はないと言っているが)なのか、この物語のキーワードである“認識”が
何らかの作用をもたらしているのかは謎。2巻を執筆中との事なので、
このループ世界の構造の謎は2巻以降明らかになるのかもしれないですな。

ループ世界に巻き込まれた人ってのは、共通して「止まりたい。変えたい」と言う願望が
あるように思えた。若しかしたらそういう世界への“認識”がそうさせたのかなぁ?
で、その“認識”を取り払うのがもう片方の主人公(全話に於いてこの役目は男の子が
担っていた)なのではないか。前へ進みたくないと言う“認識”がなくなったからこそ、
ループ世界から脱したとするならば、個々でループする度合いが違うのも頷けるような?
仮にこれが正しいとするならば、ラキアも何か前へ進みたくない事を抱えているのかも。
本人は名前以外何も記憶にないし、その“認識”を取り払ってくれる人物もいない。
記憶が無いから同じくループ世界に巻き込まれた人の前に現れても「自分を助けてくれ」
とは言えず、逆に巻き込まれた人たちに助言を与えるような事をするのか・・・?

あとがきにて「現在は本作の続きを執筆中です。(中略)『ユメ視る猫とカノジョの行方』の
続きも書く予定があります(作者は書く気満々です)」とある。ですってよ!編集部さん?w
これは、とりあえず『ユメ猫』は打ち切りにはなからなかった、『ラキア』の1巻及び2巻の
売れ行きを見てから考えましょうと言う事でしょうか。どんな作品でも自分が買った
作品が途中で終わるのは悲しいので、是非『ユメ猫』の2巻を・・・頼むよ~。
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2006/07/12(水) 08:30:17) | ライトノベルっていいね
今日もまた目が覚めると、時計は七月一日を示し、家族は昨日と同じ台詞を発してきた。 繰り返される日常―これは比喩ではない。この不可思議な体験はおそらく夢ではない。 僕自身もいまだに信じられないが、確実に...
2006/07/12(水) 09:00:10) | booklines.net