詠み人知らず
勝ったな。
漫画・11月の感想1
■竹葉 久美子『やさしいセカイのつくりかた④』  ★★★★★
やさしいセカイのつくりかた④こんなにも簡単に心は揺れ動く───。
19歳にしてアメリカの大学院で物理の研究をしていた天才学者・朝永 悠。
彼が大学院から飛び出し、日本の女子高講師として働き始めて半年が経った。
2ヶ月前に大学院時代の恩師に自分の研究を乗っ取られた事を知ってから、
傷心の日々を送り続ける悠は、そんな折に開催された先生同士の飲み会で泥酔し、
同僚の百合音と2人きりで一夜を明かしてしまう。
一方、学年主任の小野田の家で暮らし始めた冬子をはじめ、
悠の教え子達の周囲にも変化が訪れ───。

まず始めに。まさかこの作品で乳首券が発行されるとは思わなかった。うん、それだけw
さて、ここらで一癖もふた癖もある女子ーズをまとめておこう。

広瀬 葵。表紙中央左。成績中位(虚偽。隠れギフテッド)。悠と個人授業中。家庭に難あり。結構ピュア。小さい。
草壁 ハルカ。表紙下。成績悲惨。読モ。悠が好き。見た目に反比例して超ピュア。激しく小さい。
遠野 冬子。表紙上。成績悲惨。小野田先生が好き。家庭に難あり。何度も経験済み。でかい。
大川 香代。表紙中央右。成績上位。いわゆる腐女子。伊達眼鏡。興味のあるお年頃。激しくでかい。

葵の“虚偽”こそがこの物語のミソであり、彼女のギフテッドの憂鬱の解消がどうなるかが見物。
ですが、4巻では主に冬子にスポットライトが当たっています。

・・・の前に、前巻で大変なところで終わった悠くんのその後についてw
察するに、その後最後までいってしまったようですね。流石の悠くんも大人の女性の魅力には勝てなかったか。
その辺のもやしとは違う悠くんの偉いところは、責任をちゃんと取ろうとしたトコですね。
個人的には、大人同士だし一夜の間違いくらい、サーセンでいいような気もするけど。

なのに、まんざらではないとしつつも振ってしまう加山先生。
加山先生・・・自分から迫ったのに振るとか・・・悠くん不憫な子・・・w
でも・・・時間に比例して責任としがらみだけが増えていく事にもどかしさを感じ、
大人になった自分は、簡単に“今”を捨てて、何も考えず彼の胸に飛び込むことが出来ないという振った理由も分かる。
だって悠は「いつかいなくなってしまう人。ここに留まる事を由としない人」だから。

加山先生は「若ければこんな・・・」みたいな事を言っていたけど、
コレって実は、そんな若い子であるハルカも同じ悩みを持っているんスよねぇ。
加山先生は振る事で気持ちに一応の区切りをつけたけど、ハルカはそれすら出来ない。
あまりにも幼い心は、たった1度の玉砕ですら修復不可能になるって怖がってるから。

・・・けど唯一葵は、悠と歩調を合わせ隣を歩いていける可能性があるのよね・・・。
加山先生とハルカの対比、そして葵のギフテッドな存在。これをフラグと言わずして何と言うw
そしてフラグは言うのだ。「何を勘違いしてやがる。まだ俺のターンは終わっていないぜ」と。

加山先生との情事(?)は葵の知るところとなります。
しかし悠はここでもイケメンを発揮して、加山先生との事は終わったとキッパリ。
そこで葵はハルカの為に、遠回しに「近くにいる生徒にチャンスはあるのか」と問います。
悠もクソ真面目に、「先生と生徒と言う間柄でなくなれば可能性はゼロではないな」と答える。
ここまでは良かった。良かったんだ・・・でも!あろうことか悠はその生徒が葵なのかと思ってしまう。
「(え?マジ?広瀬って俺に惚れてるの?)」と動揺する悠。
嗚呼・・・フラグの笑い声が聞こえます。

いつも鈍いのに、なんでそこだけ逆ベクトルで鋭いかな!?w
秘密の個人授業(意味深・・・ではなく、ギフテッドを隠し、周囲には内緒で、
大学の高レベルの物理や数学を教えてもらってます)によって悠が葵という存在を少しずつ理解し始めている
証拠なのかもしれんけど・・・そうきたかぁ・・・。分かり合うって難しいことですな。

・・・おおっと!フラグが読者の弱点をついてワンモアが発動したようです!
この時点でもうかなりヤバイけど、今巻ラストで更にハルカに遂に悠と葵の関係を知られてしまいます。
内容だけなら、誤解を解くだけでいいハズなんだけど、悠の勘違いや、ハルカの悠への躊躇、
今までのしつこい位の「私(葵)はハルカを応援しているよ」アピール(本心なんだけどね・・・)を考えると、
外堀は埋められていると言っていい。

ハルカは現在、悠との仲を縮めたいけど縮められない状態であり、彼に背中を押され、
彼女が彼女であれるとイキイキしていた読モも乗り気がしなくなってるからな。
ここに「裏切られた」なんて感情が加わると・・・全然優しくない、優しくないですぞぉ!

そして冬子だ。今回のメイン。
4巻で描写された通り、冬子も葵と同じ様に家庭に悩みを抱えている。
だから葵は人一倍気持ちが分かり・・・人一倍怒りが込み上げて来るんだ。
自分はそれに耐え、誰かの手を掴むような事はしてこなかった。
一方、冬子はそこから“堂々と”逃げて、小野田先生という存在に依存、甘えている。

自分のせいで、自分の居場所を、周囲の人の居場所を壊してしまったと自責しているとは言え、
在るべき場所への蜘蛛の糸は拒否して、ひたすらぬるま湯に浸かるなんて葵には到底許容出来るはずがない。
悠と出会って変わりつつあるからこそ、今の冬子は見てられなかったでしょうね。
変われること・・・「変わっていいんだってこと」を冬子にも分かって欲しかったに違いない。

・・・という感じで、葵との対比がなかなか良かった。
垂れ下がる蜘蛛の糸・・・葵はそれを何度も払ってきたんだよなぁ・・・。
自分さえ我慢すれば、全てが上手く良く。自分を殺すことだけを覚え、生きてきた人生。
でもそれを初めて否定し、蜘蛛の糸を垂らしてきた人物・・・それが悠なんだな。

小野田先生もまた、居場所を自分から拒否すると後で取り返しの付かなくなる事を知っている。
どうやら先生は奥さんと死別してるっぽいからね。あの時・・・と思うことが沢山あったはずだ。
冬子に後であの時・・・と思わせるようなことは絶対して欲しくないと思うのは必然だ。
その想いの強さの証が鉄壁の理性だよな!小野田先生、良く最後まで壁を崩さず我慢した!偉い!w

それにしても・・・冬子が闇を背負うきっかけになったアレって小学生の時なのかよ・・・コレは衝撃だった。
小学生時の体験なら、自分を大切にする事を捨ててしまったのも納得できる。
彼女が中学生時代に、自らの体によって絶えず色んな男に依存してきたのはこのせいだよな。

小野田先生も憤慨していたが、流石にそれは家族や姉彼がクズすぎる。姉彼はマジで死ね。
“家族”という“枷”を保つ為に、当時小学生だった冬子に全ての責任を押し付けるとかねぇわ。

そう考えると冬子は逆の意味で“強い”な。が、勿論この強さは、ただの強さじゃない。
彼女が強がるたびに、自身は自分のトゲで体を傷つける、ハリネズミのような強さだ。
よく壊れなかったものだ・・・壊れる前に自分を傷つけることで心を防衛したのだろうか。

最後の砦たる自己愛を簡単に瓦解させたから、彼女にはもう“これ”しか残されていない。
だから自分を突き刺して、売り出して、逃げて、その先で依存し、甘えようとする。
彼女自身、ここに気付いているから尚の事辛いわ・・・。

小野田先生はそんな彼女の“トゲ”を抜いてあげたんだ。もう我慢する必要も、逃げる必要も無いってな。
自分を大切にしない若人を見るのは本当に辛いんだぜ・・・。

今まで賑やかし担当で、最早オアシス的存在だった香代にも暗雲が!?
悠の知り合いで妻子持ちのレオンに一目惚れ。ここで読者達は思ったはずだw
「げぇ!お前もややこしいことになっちゃうの!?収拾つかなくなるー!」ってなw

しかしながら我々の思いとは裏腹に、その回だけで即行告白、撃沈っていうね・・・w
この経験を経て、ボーズラブレベルが向上する辺り、流石と言う感じ。
次回(?)のコミ●では超クオリティなBL本を出してくれる事でしょう。悠×レオン(悠が受け)のw

香代はこのまま全国の腐女子さんのイメージを払拭する役目を全うして頂きたいw
見た目だけではなく(メイド喫茶のバイトシーンとその後の私服が可愛すぎだわ。4人の中で一番かも)、
服装などのセンスもいいし、他の3人に対して姉御肌なアドバイスするし(本人は経験ゼロなのにw)、
香代の周りには最初から“やさしいセカイ”が展開されている。ほっこりしますな(*´ω`*)

彼女達の過去や目を覆いたくなるような傷に触れた時、決まってこう言うんだよな。
「よくある話じゃないですか」「今時、珍しくなんかないですよ」と。
悠や読者はそのたびに絶句する。何故なら、悠はそれに対する答えを持ち合わせていないから。

冬子や葵に同じニュアンスの台詞を言わせている辺り、作者意識してるぽいよなぁ・・・。
この答えを探すのが悠の役目であり、それが彼女達の“やさしいセカイ”に繋がるのだと信じたい。
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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

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