詠み人知らず
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漫画・4月の感想1
■五十嵐 藍『ワールドゲイズ クリップス①』  ★★☆☆☆
ワールドゲイズ クリップス①女の子2人の家出『放課後ロスト』、
友達と散歩『ウォーキング ウィズ ア フレンド』、
少女と隠れて金魚を飼う『緑雨』、
ヨリを戻したい女の子『blue imaginary birds』。
放課後の狭い世界の色々。
身の回りの日常にある少年少女達の曖昧な青春オムニバス。

相変わらず淡々としております。1巻となってますが、短編集ですな。
ふと、自分は今どこにいるんだろう、何をやっているんだろうと考えたり、
逆に何も考えなくて空虚になったり・・・・何かをしないといけないと思ってもその何かが分からなかったり、
何かのスイッチが錆び付いていて動かし方が分からなかったり・・・そんな、思春期にある“何か”を抱えた
少年少女達の物語です。必死に何かを何かで埋めようとしている、そんな「オチのない」お話集。

普通(?)の漫画と違って、とにかく最初から「埋まってない」んですよ。
なんとなく、なんとなく・・・。それは登場人物達の台詞の中にも表れていて、

「B?」
「A」

「お腹(空いた)」
「そ」

等、単語と単語、そして無表情の応酬がメイン。手ごたえの無い殴り合いですわ。
語彙に富んだ会話劇は少なく、そんなお年頃の少年少女のモヤモヤした気持ちが、
やり場無く心の中に溜まっていて、吐き出し方を知らないかのような・・・
飛んでくる想いも濾される事がなく、嚥下する事自体を知らないような・・・
何の発展性も生まない会話が逆に癖になる・・・かも?
「B?」「A」なんかはちょっとドキっとしたw

『放課後ロスト』。家庭が悲惨で、外では悪いことしちゃってる委員長と、
サボり魔の名前も知らないクラスメイ・有川の関係を描いた作品。
お互い興味が無く、自分の世界の登場人物ではない2人が強制的に関係を持ち、そこから変わっていく。
何かに意味を見出さず、なんとなく生きていく2人にある意味での羨望を感じたわ。

自分を悩ませるものですら、自分を形作る何かだと気付き、ちゃんと向き合うようになれたのは、
これまた、どうでもいい人と出会い、なんとなく一緒に行動してみて得た“何か”があったから。
その正体を、委員長が口にした飴玉に重ねた(作者の意図がそうかは分からんけどw)のはなかなかに見事。
最初、口に入れたら、確かにそこにあるけど、気付くとなくなっている。
でも、それは確実に自分の中に溶け込んで、“何か”として根付く訳だ。

2人のなんちゃって逃避行は、劇的に何かが変わった訳ではないし、
有川の言う通り自分が変わらなくても世界は勝手に変わっていく。
たった数日ではあったが、2人の関係は飴玉の如く、2人が生きる糧となったはず。
人生というものは飴玉を舐める連続なのかもしれませんね・・・ふw(ドヤァ

『ウォーキング ウィズ ア フレンド』。
変化球な1作品目とはうってかわって、非常に直球な作品。
自分の中にある空虚を何かで埋める為に、友達と行動を共にするお話です。
主人公の女の子が選んだのは「カラスの死骸を山に埋めに行く」事。
道中繰り広げられる、友達ではあるか親友ではなく、ましてや恋人でもない男友達という
何とも言えない距離感同士による、何とも言えない会話に色々と考えさせられる。

もうすぐ卒業だし、何かしないといけない・・・よね?
心の中に大きな穴があるんだけど埋めたほうがいい・・・よね?
私達ってそろそろ焦って大人にならないといけいないんだ・・・よね?

と言った、年相応の変な焦り。それを一瞬でも蓋をしたいという思い。
あの頃は、答えを請う様に隣を見ても、隣の人はまたその隣を見て請い、
その多くが前を見ていない・・・俺もそうでしたw

少なくともこの2人のその空虚の穴は、この話の中である程度埋められたのではないかと。
ラブホ周辺とか山小屋での会話が良かったわ。「吐き出す」って行為が埋める事に繋がっちょる。
それにしても・・・乳どころか全裸の少女を目の前にして・・・ったく!いってまえよ!w

『緑雨』。1巻に収録されている話の中で一番狂気じみている作品w
彼女はいるが、ずっと昔遊んだ少女の事が忘れられない少年。
ある日、その少女にそっくりな少女を見かけて、彼女を追っていくように・・・というお話。

本人かどうかは分からないが、似ているが故に過去をその少女に重ねのめりこんでいく少年。
その彼女と疎遠になった後も、少年は自分の空虚な穴を“無いモノ”で埋めていく・・・。

一方、彼女も自分を愛せず孤独で、「綺麗な服を着せさせられ、
脱がされてやらしい事をさせられるバイト」で、何となく生きている状態。
だからこそ、少年は余計にあの頃好きだった少女が、今、目の前に居るなんて事を受け入れられず、
次第に清楚で大人しかったあの頃の少女の幻覚を見るように・・・。

実際は、少年が抱いていた可愛い少女は、たった1日だけ遊んだだけの関係であり、満面の笑顔などなかった。
つまりは、いわゆる思い出補正(狂気)にって作られたものだった。
過去にしがみ付く男の子と、今に生きるも心は“今”にない女の子のギャップが何とも儚げだった・・・。
2人とも「生きているだけ」なので、言葉が軽い軽い。セックスすら何かを“埋めるもの”になっていた。
最終的には、心を“今”に持ってきた少女によって、男の子も女の子も(彼女さんも)
“水槽”の中から出られたのが救いか。少女の満足そうな顔で俺も救われたわw

前2話とは違って、埋める“何か”の要素が、“無いモノ”である点が違うよな。
男はよく過去を忘れられないって言うが・・・その通りなんだよなぁw

『blue imaginary birds』。前3編と違ってさくっと、且つ、いい後味で終わる。
別れた彼氏とヨリを戻る為に、幸せの青い鳥を捕まえようとコミカルに奮闘するお話。
結局少女は、青い鳥を捕まえる事に成功しますが、彼氏は既に彼女持ち。
その瞬間、「なんだ、これは本物の青い鳥じゃなかった」と再び前を向く少女。
それが偽物か本物かなんてものは自分で決めるんじゃいというのが、眩しいほどに若々しかったw
そんな先輩に呆れを垂れながら付き合ってあげる後輩。本物の青い鳥はすぐ近くにいそうですなw

『アネキ』でファンになったけど、もう確信したわ。五十嵐先生は“こっち”が真骨頂なのね。
物語の登場人物的に、読者層のメインターゲットは思春期っぽいけど、
果たして「あー、あるある」となるのかな。これは、今、それが何か分かっていないからこその物語。
思春期の頃の“それ”の正体が、当時に分かっていたら皆苦労しないよな。
寧ろこの漫画は、大人になって読んで感じる「あー・・・あったあった」となる人の方が多そうだ。
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テーマ:漫画 - ジャンル:本・雑誌

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