詠み人知らず
『天結いキャッスルマイスター』DLC第1弾(無料)きたあああ!!!
漫画・12月の感想1
■森永 みるく『GIRL FRIENDS⑤』  ★★★★★
GIRL FRIENDS⑤“友達同士”とは違う想いを、お互いに確認しあったまりとあっこ。
誰にも言えないけど、幸せな日々は過ぎていく。しかし、時の流れは彼女達に
卒業後の人生も意識させていくのだった。小さな嫉妬、将来への不安、
かみ締める幸福・・・女の子同士の恋、その行方は───。

最終巻です。意外(?)と早く終わったかなと言う印象。
取り扱っているネタがネタだけに、どこまで描くのかずっと気になっていたので。
物語としては丁度いいところで、終わったと思います。新しい可能性の芽を出す種も、
ちゃんと蒔いて終わらせていますしね。非常に満足のいく漫画でした。

想いが通じ合った2人とゆーのは、どんな構図であって眩しいのぅw
恋人同士になって迎えたクリスマス。外で堂々と腕を組み合う2人に涙したわ。
でも、やっぱり違いは感じるね。並列したベクトルで進行する恋愛模様。
これに違和感を感じたんだと思う。男女の場合は相反するベクトルがぶつかり合って、
徐々に重なり合うよね。あっことまりの場合はそれが最初から寄り添っている。

何気なく「一緒に服を買った」シーンでそれを特に強く感じた。
この時、2人が抱いた不安。一緒に・・・?一緒の・・・?恋人同士だよね・・・?
恋人同士でもおそろいの服を買う事だってあるし、そこまでおかしい訳じゃないんだけどな。
なのに、あれだけの不安に狩られたのは、同性と居る時の気楽さに加え、
そこに恋人っていう、“異物”が混入したから、変な強迫観念に襲われたんじゃろう。
「果たして自分達は正しいのか」と。

直後、偶然街で出会った昔の友人に2人の関係を聞かれ、「高校の友達」と答えたよな。
あそこは漠然とした不安が声になって現れた瞬間だろう。笑顔の奥底に秘めた悲しさに、
何とも言えない気分になった。好きになればなるほど、相手を傷つけてしまう・・・か。

旧友と仲良くするまりに嫉妬を覚えるあっこ。これは辛い。
女同士、相手には“敷居”は無い・・・否、無いと思われているからな。
「私の恋人に近づかないでよ」とは言えないんだよなぁ。
増大する不安に押し潰されそうになったあっこがとった行動は・・・
「キスよりも確かな証」を得ることだった。

最初は暴走しそうなこの感情に大丈夫かと危惧したが、
想いが通じ合った2人は無敵だった。証とか、立場上優位に立つとかじゃない、
好きだから好きだって言う、キスをする。それと同じ様にごく自然に体を重ねたね。
普段我々がするそれと何ら変わりが無い、「好き」の証明だった。

このシーンは、俺が男だからって禁断愛さ加減に「うへへ」となる事は無く、
・・・何て言うんかな・・・“直視”出来たっつーの?
ちゃんと見届けて、受け止めてあげなければならない気持ちになった。

“前例”が無いので「こうすればこうなるだろう」がない。
進むべき道が正しいのか、ゴールなのか分からない。全てが暗中模索。
そんな中で、こういった不安をかき消して、改めて想いを確認し合う為に一線を越えた2人。

「どんなことがあっても、もうあなたを諦めない」というまりの台詞の
「もう」と“あなた”に込められた決意。その大きさにこちらが気圧された。
この「もう」と“あなた”の言葉の強さは、これまで読んできた読者になら分かるはずだ。
何度も諦めようと、時には自分から拒否して捨てようとさえした“あなた”という存在。
恋愛とかそんなんじゃない、私は“あっこ”を諦めない。彼女の代わりなど無い。
それをぎゅっと手の中に抱いて、微笑みを絶やさないと誓う・・・。

最後の最後にきてやっと、胸が締め付けられる切ない展開が無かった!
このネタで、この展開で、心が甘く満たされ、晴れ晴れとする時がやってくるなんてな。
何か、作者に素で感謝してしまったよ。

正直言って、彼女らの前には高い壁が沢山あるんだよ。
担任の出産休暇の話で、間接的に突き出された現実がまさにそれ。
結婚は?子供は?知人、両親には何と言う?誰にも言えない狭い世界で苦しむ2人だが、
体を重ねるシーンを見て、少なくとも2人の間で折れる事は無いだろうと確信した。

それに・・・まり、あっこよ。周り全ては敵ではないようだよ。
・・・すぎさん(2人の親友の1人)さ・・・これ、気付いてるよね?
何かを言う訳でもなく、嫌悪する訳でもなく、ずっと見守っていたんだな。

この物語は、まりとあっこの友達がホントいい味出してた。
まりとあっこだって普通の人間なんだ。だから“無いもの”もある。
それを埋めてくれた、またはそのきっかけを作ったのが友人達だ。
彼女らがいなければ、まりとあっこはここまで来れなかったよね。
物語開始当初、穴だらけだったまりやあっこの心の中は、
今では好きな人の笑顔と親友達の愛でいっぱいだ。

ラストでまりがあっことの幸せだけでなく、友達の幸せと、
あっこと同じ様にずっと一緒に居たいと願ったのがその証拠だな。
恐らく、近いうちに皆に2人の関係をカミングアウトするだろう。
そして友人達はそれを祝福して、今以上に彼女らを支える力になるだろう。
こればっかりは間違いないと断言出来る。

2人の世界がこれ以上狭くなる事はもうない。広がる可能性しかないんだ。
これからは、巣食う闇に光を点していくだけだ。無責任なことは言えないが、
この2人ならば、立ちはだかる壁も壊せるのではないかと思った。
だって・・・そう思える内容だったからな!

まりもあっこも、親友達も卒業後、違う進路を歩んだ。
けど、繋いだ手は絶対に離さない、彼女らはもう前しか見ない。
そして、進路先ではまた様々な出会いがあるだろう。
それが2人をより大きくして、世界を広げる糧になるだろう。
その過程を見てみたい気持ちがあるが、頂いた温かい気持ちを胸にひとまずは終幕で。

百合モノだとか、禁断愛モノとかではない、青春と恋愛の1つの形を描いた秀逸な作品だった。
リアルさを追求した漫画ってのは沢山あるが、そういう作品もやはり「漫画だな」と
思う箇所がある。これにはそんな箇所が無かった。引き込まれるいかにも漫画的な表現や、
この手の漫画にあるような萌え要素が全く無く、漫画らしくないといえばないのだが、
逆にそれが良かった。今ある世界を、着色する事無くそのまま漫画に持ってきた感じ。
だから心ん中にストレートにガツ~ンときた訳ですな。

作者の作品愛と共に、ある少女の高校3年間を追えた至福のひと時だった。
時代や感情の描写が機微に丁寧だったので、小説にしても面白かもしれないね。
関連記事

テーマ:漫画の感想 - ジャンル:本・雑誌

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック