詠み人知らず
勝ったな。
電撃文庫・10月の感想1
■橋本 和也×さめだ小判『世界平和は一家団欒のあとに⑩ リトルワールド』  ★★★☆☆
世界平和は一家団欒のあとに⑩ リトルワールド妹の危機。悪の大首領との交流。異世界からきたあの人。幼児化した姉。
母の家出。神様との対決。祖父の右腕との戦い。宇宙人の少女。
世界の危機も、家族の危機も、いろいろあった一年。そして巡ってきた冬――
柚島が失踪した。一通のメールだけを残して行方がしれなくなった。それと時を同じくして、
星弓家の面々は謎の男の襲撃を受ける。そして美智乃は勘付く。柚島の家族の秘密に。
自らにも危機が迫る中、軋人は本当に大切なものを守れるのか。ついにクライマックス!

家族愛を描いた名作もこれで見納めですか。
新人でメディアミックス無しで10巻も出たって事は結構凄い?
それだけファンの人が多かったって事なのかしら。うん、確かに面白かった。

柚島失踪・・・失って始めて気付く何とやらでしょうか。
いつも隣にいるのが当たり前だった人が居ない現実・・・。
軋奈が死んだあの日を思い出してしまいました。

襲撃者の正体はあらすじや作中の美智乃の指摘から、若しかして・・・と思っていたけど、
やっぱりそうでした。まさかここでいつかの美智乃の回復役に関する台詞・・・
「このまま成長すると生き返らせる能力になるかも」・・・がフラグとして出現するなんて。

柚島の兄は、妹と共にこの能力で両親を・・・“家族”生き返らせようとしていた。
おいおい、家族ならそこにいるじゃないか・・・確かに本当の両親はもういないけど、
柚島を誰よりも大切に思ってくれる人達が、1年間もずっと傍に居たじゃないか・・・。
軋奈という家族を失っても尚、強い絆で結ばれたある家族の姿をずっと見てきたじゃないか。
なのに、何で・・・何で・・・傷つけ合おうとするんだ。・・・いや、だからか?
家族を失った星弓家を見て来たからこそ、その必要性を強く感じているのか?

でも本当は、人を生き返らせるなんて出来ない(柚島の能力=美智乃の能力を兄の能力で移植=
美智乃は蘇生は不可能だと悟っている=柚島も気付いている)と分かっているのに!
本当に大切なものを失おうとしているのは、軋人だけじゃない、柚島もそうだ。
両親を蘇らせる代わりに、1年前に得た何物にも代えがたく、失うと一生戻ってこない
“それ”を失おうとしているんだぞ!大切なもの2つを天秤にかけ選択するなど・・・!
この物語で天秤にかけていいのは、世界平和と一家団欒だけだろう!?w

それに君が大好きな兄をもう一度しっかり見てみろよ。兄は色んな能力を奪い、
“神”になろうとしている事に没頭している。それは勿論、妹の為であり、
柚島からして見れば、昔優しかったあのお兄ちゃんのままなんだろうけど、
星弓家と出会ってからの“今”の君の本当の想いを汲んでくれているか?

俺ぁさ・・・2人の間に、誓約書めいた宣言なんていらんだろと思っていた。
何つーか、軋人と柚島は心が通い合ってるって。勝手にそう思っていた。
でも、柚島も1人の人間であり、女の子であり、お姫様だったんだよな・・・。
しかも実は孤独で、ずっと家族愛に飢えていたなんて・・・。

反面、甘えだとか依存を嫌い、弱いところを見せようとしないんだよな。
全部自分で仕舞い込んじゃう。軋人には仕舞い込むなっていつも言っているのに。
だから俺も・・・多分、軋人も柚島の苦しみに気づかなかった。
故に、知らない間に彼女の心の中は夜色に染まっていってたんだな・・・。

そんな中訪れた、「若し私の能力が無くなったら、あんたはどうする?」は、
柚島の作中で最大級の心の叫びだった。ずっと気丈に振る舞っていた柚島が遂に折れた場面だ。
しかし彼女自身は、これに対する軋人の答えは分かっていた。絆とか愛なんてもんは、
ギブアンドテイクみたいなそんな薄っぺらいもんで繋がってないってな。
星弓家の面々を見てきた柚島が「気付けないはずが無い」。

なのに、不安に狩られて、叶わないと分かってるまやかしの希望に逃げ込んで、
一緒に居たい一番大切な人の傍から姿を消すなんてやっぱ間違ってる。
柚島は聡い子(鈍感な軋人をどんだけ救ってきたかw)だからね・・・色々考えすぎて、
分かっている事も見えなくなるくらい、周りが見えなくなっちゃったんだね。

「家に帰ろう」。
見る事をやめた柚島に軋人がかけた、短いけど、凄く温かい言葉。
もう他には何の言葉もいらないよね。これだけで柚島の心は空色に染まる。
このシーンは非常に痺れました。軋人じゃないとこの言葉は絶対に響かない。

そして、続けて軋人は柚島の事を初めて“香奈子”と呼んだ・・・。
来た来た来たぁ!来ましたよ皆さん!柚島が本当の“家族”になる日がぁー!
これって「お前は俺の大切な人なんだ、帰るべき場所へ帰って来い」って事ですな!
土壇場での満塁ホームランに、心の中で思わずガッツポーズをしたのは俺だけではあるまい!

最終奥義を繰り出されたラスボスの女の子は、自身も最後の奥義を繰り出す。
「どうしてそんなになってまで、私にそこまでしてくれるの?」。
最後にして、絶対間違っていはいけない選択肢・・・勇者は答えます。
「そんなのはお前、俺がお前の事が好きだからに決まってるじゃねぇか」。

もう・・・ね。柚島の前にこっちが感極まって「大好きだお前らー!」と叫びたくなったわ。
世界平和の前の、一家団欒の前の、更に小さな世界・・・大切な人との世界・・・。
最初はヘタレっぽくて、軋奈の事を引きずってて、どうしようもない奴かと思っていたが、
終わってみれば、主義主張は一貫してたし、小細工など弄せずいつも真正面からぶつかってた。
傷だらけになっても、柚島を愛し、家族を愛するThe主人公がそこにいた。

最高にかっこよかったぜ大将!これからもお前の世界を守っていけよ!
恋に不器用な星弓家の時期大黒柱を後押しした、家族達の愛も最高でした!

最近の作品では稀有なほど、終始安定していた感がありますね。
本を閉じた瞬間、思わず「有難う御座いました」と言ってしまった作品だった。
小さな本の隙間から溢れんばかりの様々な愛。全部、全部受け止めさせて頂きました。

1巻からずっと見守ってきましたが、本当にいいお話と、キャラクター達だった。
軋人と柚島には俺的ベストカップル賞を与えよう!末永くお幸せに!
俺の?お前の?それとも皆の?いやいや!柚島は軋人の嫁!w

最終巻なのに七姉ぇや親父の扱いが涙を誘いましたが、そこはほれ、短編集とか・・・さw
他にも、軋人の初チューの相手であるエルナの再登場とか書けますよぉ?w
軋人、エルナ、柚島の三角関係・・・ありじゃね?「回数で勝つ」と宣言した柚島が、
実際に勝負を挑むことになる相手が目の前に現れた時、どういう反応をするのか見てみたい。
あとは、本編では描かれなかった刻人と梢のマフラー買いに行く話とか、
美智乃の宗次君との初恋の話(軋人の嫉妬見てぇw)とか、七姉ぇとナナのその後とか、
彩姉ぇと竜介のデートエピソードとか・・・ネタはまだまだありますよね?w
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テーマ:ライトノベル - ジャンル:本・雑誌

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